南ア全山縦走 2002.7.20-2002.8.1

区切り線

20日 夜叉神峠〜南御室小屋

癒し・・・かな。
果てしもなく高い空を見ながらつぶやいていた。

何故、山へ登るのだろう。
何故、南なのだろう。

眠ることなどできなかった。
耐えがたいほどの夏の寝苦しさをシュラフの中で感じながら

ひっきりなしに鳴るエンジンのこだま。
車の窓をあけて、横になったまま空を覗いていた。

あまりにも明るい空。今日は満月だろうか。
そして車のヘッドライトに照らされるたび、眠りに落ちるのを待ち閉じた目をふたたびあける。

1時、2時くらいまでそんなことを繰り返しただろうか。
初日の行程が終わるまでは気持ちは落ち着かない。南では敗退続きだったトラウマがある。体 力不足で登りきれなかった。そして鳳凰三山では志半ばでの敗退。まして今年は長いこと登山 から遠ざかり自分の体を食いつぶしながら働いていた。自分の体力具合さえ把握していない。
登れるのか、登れないのか。

気づいたときには、すでに甲府発のバスが入ってきていた。完全に寝坊である。いつまでもあ いていた隣の駐車スペースもうまり、空きはほとんどない状態。去年と同じ海の日。去年は静 かだった。隣の人は夜叉神峠まで往復の日帰り。今年はスタート時の標高差を減らした分観光 地からのスタートなのか。
とりあえず今回同行(というか、無理やりついていくことにした)たけさんと挨拶し、そそく さと準備して朝食。
例年なら3本買うパンを今年は極度の食欲不振なので2本に減らしたが、それすら食べきれな い。なんとか1本の半分だけかじったが、それも胃は受け付けようとしない。水気に任せて無 理やり流し込む。

トレーニングの時間がとれずに体力低下し続けるのが悔しくて意地になって14キロ走ったと きにやった股関節の痛み。いまだまったくひく気配なく、下手に無理をすると後遺症を残しか ねない。今回のアキレス腱でもあり、酷くなれば即下山。これは今回のルートを稜線上から下 山までの距離が短い夜叉神側からの入山に急遽変更した、理由ではないにしろ1つの考慮項目 でもある。当然、しっかりストレッチ。

そして時折出る妙な空咳。ストレスにさらされているときはいつもそうだ。これは2日もすれ ばひくはずだから無視である。

そういえば、下界にいるときは不眠もひどかった。

完調で山にやってくるのは難しいし、平地で完調であれば多分山へ来ることなどないのだろう。 大抵の不調は2〜3日山へ入ればピタリと治る。治る前に敗退にならなければの話だが。

とにかく、1歩を歩く。

夜叉神登山口の休憩舎に、重い重いザックをあげる。A4で6枚つづりの登山届を提出したあ と、登山口で少したけさんと話し込んだ。
ひっきりなしにあがってくるタクシーの1台を捕まえて、甲府からの料金を聞き出す。何の気 なしに聞いたのだが、まさかそのときは下山後にタクシーで夜叉神までやってくるとは夢想だ にしなかった。

5時になるのをみはからい、おそらく足が遅いであろう僕の方が先にスタートする。写真を撮 るのに十分な光量はないものの、すでにヘッドライトは要らない明るさ。
よく広がったジグザグに刻まれた登山道は段差もほとんどみあたらず、単調とはいえ重荷での 移動には快適な環境。とはいえ、脚力だけでは支えきれない重さは両手のストックに分散させ てなお少し安定感に欠ける。例年であれば40kg内外の荷揚げ訓練はやって入山しているが 今年は何もなく、しかも今年はカメラ変更による200gの重量増もある。もともと重荷は懸 念材料だった。予定では14〜16日の長丁場。時間ではなく、まずは今日の行程を登りきる ことが重要。体力を温存し、意図的にペースを落とす。駐車場の入れ込みやバス組と出発が相 前後することを考えれば登山道の上に人は少なく、とりあえずマイペースで歩けることは幸い である。
暫く行くと大きな警告の看板。一口水を口にする。まだ入っているのは水道水。今日は南御室 でうまい水を飲む。時間はお昼頃見当か。

割合なだらかに見える登山道。実は1時間で400mの標高差を稼ぐ結構な登りなのであるが、 距離で稼いでいるせいか見た目はそれを感じさせない。まあまあ順調に歩いて約30分40分 が経過するころたけさんが追いつく。5月に奥多摩→清里をやって、満を持して南へやってき ているだけあって重さも苦になっていないようだ。夜叉神峠までは先行させてもらう。
間もなく斜度を緩めて稜線に乗る。高谷山方面への登山道は左。近くてもなかなか行けない山 だ。右へ折れるとまもなく夜叉神峠。南西面が刈り払われており白峰三山方向の展望。正面は 農鳥岳で右へ行くと間、北岳。いったい何日後に踏むことになるのか。いや、踏めるのか。

夜叉神峠小屋前で座っている人は大勢いるが、ここはあまり長い時間の休憩をとらないように して先へ進ませてもらう。いい運動はしているが、長時間の休憩はかえって体に負担をかける。 今日は何よりも今日の1日行程を完歩することを優先させる。たけさんはかなりお店をひろげ たみたいなので当面は追いついてこないだろう。

第2ピッチは大崖頭山脇、2180mまでの、やはり単調な登り。時間的には早いが獲得標高 では後半に入ってくる。
2180m地点には杖立峠の看板があるが、正しい杖立峠の位置はここではないという。
約400mの標高差を約1時間で登るのでここもだらだらいっているようで結構登っている。 登山道は先の夜叉神峠までよりは少し細くなるが、さりとて登山道としては一級の歩きやすい ルート。荷物の重心を体の外へ出さないといけないような場所はほとんどなく、淡々と足さえ 動かしていれば先へ進んでいく。稜線を少し外れた左側についた登山道。ときおり樹林が切れ 展望が望めるようになると、右手に今山行初の富士山。南の魅力の1つでもあるが、今日は森 林限界を出ず、本格的なお楽しみは明日以降。
本来の杖立峠にむかって少し下ったあと山火事跡(2300m付近)へむかっての登り。今日 最後の大展望になる。中途半端だが一旦荷物を降ろして撮影。悪沢岳や笊ヶ岳方面の展望。ま だ甲斐駒は見えてこない。
カメラをふりまわしていると、どうも自分ではうまく撮れないので1枚撮ってくれとか。んー、 そう言われても僕も同じ悩みだしなー。
相変わらずどこにいるのかわかりづらい所を登っていき、うんざりした頃ほぼ水平になる。も うロスタイムに入っているはずなんですけど、などと同行者と話しながら登ること30m。距 離は少し長かっただろうか。前触れもなく苺平に到着する。展望は何もない場所で、地名がつ いて道標がなければ通過してしまいそうな場所。もう足のほうは一杯一杯である。ここでザッ クをおろして長時間の話しこみ。
ようやく朝食のパンを完食。まだ昼食のおにぎりが残っているがとても食欲が出るような状況 ではない。たけさんは後ろからきて先にいってしまったようだ。

せっかく2度目なので辻山、とも思ったのだが、脚力的にすこし心許ないので今回は辻山は断念 (この2週間後無事辻山は登頂されることになる)してまっすぐ南御室小屋へむかう。主に下り 方向のルートを本日薬師小屋までいく予定の人と同じくして歩く。
辻山の山腹をぐるっと一回りして反対側に出る。地図を丹念に見ていればどのあたりを歩いてい るかはわかるが、どちらかといえば南御室の小屋は樹林帯の中に突然現れるタイプ。南御室まで あと○分の道標はあれど、自分の目で確認するのは直前にきてから。小屋が見える頃にはあと1 分2分の最後のくだり。
もう1歩も歩けない!という状況ではなかった。多分昨年よりは楽だったのだろう。想像してい たよりはずっと余力が残っていた。問題は明日以降の疲労の蓄積なので、明日以降できるだけ疲 れを残さないようしっかりストレッチ。
早い時間の出発で周囲に迷惑がかからないよう、テント場の入り口に一番近いところをまず確保 した上で、とりあえず無事1日目の行程を終えたということで乾杯。でもって、南御室の水。南 アの水は(北沢峠を除いて)たいてい当たりである。水場は良く出ており冷たい。
薬師小屋は本日予約がない人は泊まれませんだそうです。

テント場は広く、奥の方は樹林の日陰になっているが、奥行きが長いのでトイレ、水場とも遠い。 今回陣取った表側は日向になっているのでやたらと暑い。とてもテントの中で昼寝ができるよう な状況ではなく、外のベンチに寝転がり休息。気持ちは少し歩き足りないが、体のほうは一杯一 杯と言っている。

酔っ払いの手で久しぶりにとる天気図に少し不慣れな手で記入していく。ようやく記録が追いつ いていく状況。2,3日すれば耳も慣れるはずである。
ラジオは欄外に風速50mの台風を報じている。まだまだ遠いが、今年は停滞必至の状況か。
風の強さからいえばどこかで大崩れがあってもおかしくない。北岳山荘でヒットか農鳥小屋で 停滞か、最悪なのは熊ノ平〜三伏間か。いずれにしても稜線上でこのえらく強い台風に当たるの だけは避けたいところだ。

今日はそのまま日のあるうちに就寝。やはりテントで寝るのが一番落ち着くらしい。何度か目を 覚ましたが、昨夜の寝不足もあり久しぶりに熟睡した。

21日 南御室小屋〜鳳凰三山〜高峰〜早川尾根小屋

日の出を見るべく早いスタート。およそ1時間歩いて薬師岳へ出て、そこで日の出を見たい。 どんなに早い出発でも朝食抜きはやらなくなった。出発時間を考えると、朝食を食べるために は必然的に午前2時半起床である。当然周囲は眠りに、と思いきや、この時間から起きている 人は大勢いて午前3時頃にはほとんどのテントに明かりがともる。午前3時前に登りはじめる 人さえいる。当初薬師泊まりを予定していた人だろうか。小屋前から日の出のつもりが誤算に なってしまったのを取り返すべく、だろうか。
すでに歩いているルートなので勘所はわかっている。当方もヘッドライトをつけての出発。し ばらくは段差の大きいざらざらした砂地ののぼりだが、すぐ土にかわって歩きやすくなる。南 御室を出るとずっと樹林の中だが、ときどき木の陰から外の様子が見える。少しづつ明るさは 増しており、そして間もなくはじめての大展望がやってくる。大岩をこえるともう森林限界も 間近。そして見える大岩。観音岳手前の2700m付近で樹林を出る。凄い。
振り返ると櫛形山。奥には毛無〜雨〜竜の山塊とその奥に富士山。さらに右に伊豆方面の山塊。 やや左は御坂山塊。蛾ヶ岳も王岳も三つ峠も確認できる。さらに向こうは丹沢か。左中央は大 菩薩。湯ノ沢峠も滝子山も完全に確認でき、さらに左は雲取山〜金峰山の稜線。その下に茅が 岳も。目の前は巨岩だがここを上がれば甲斐駒も見えるはず。左は今はさえぎられているが白 根三山も仙丈も見えてくるはず。やや崩れやすい砂地を少し歩く。
ここをぐるっと回りこんだ2720mの小ピークで日の出をむかえる。目の前には薬師小屋。 岩上にあがると360度の展望。ほとんどかげあがるようにして登ってきたたけさんも日の出 には間に合い、金峰山の右あたりから太陽は上がってくる。オレンジ色の綺麗な焼け。

ひとしきり堪能した後は今日の目的地早川尾根小屋へ。薬師小屋へ少し下り返し。薬師小屋は 水場なしで南御室から水を持ってあがるようになる。宿泊は基本的に予約制。
登山道は岩地で少し大きい段差を余儀なくされる。小屋の周囲だけ樹林に覆われ、再び登り返 して砂地に入ると薬師の山頂は目前になる。この間は花があたりだったようだ。タカネビラン ジにはすこし早かったのか。
薬師山頂と標識が立っている場所は一番高い場所ではないようで、360度の展望とはいかな い。ここはそそくさと立ち去って観音岳方向へ向かう。さほど良いとは思えない稜線漫歩は両 側が見えていないスカイトレイルだからか。途中北岳方向の展望が良いところで一旦ザックを おろして休憩。ときおり潅木の間に入ったり、稜線を少しだけ外したりしながら観音岳に立つ。 登山道から空身で5mばかり登り、標識の上の一番ピークに立つ。
どこまでいくの、と度々聞かれるが、なにぶんまだ2日目。光の予定で入っているとはいえ、 どこまで行くというのは言いづらいものだ。まして足のつけ根の不調もかかえており、どこま でいけるかなんかわからない。とりあえず北沢峠方面とか、白鳳峠で敗退とか、適当なことを 言っておく。

いよいよ初登である地蔵岳へ。豪雨で観音岳先まで行って敗退しており、観音岳は踏んでいる が地蔵については未踏となっている。あのときは山の右も左もわからない時期だった。あれか ら2度の南ア全山を経験している。南観も山岳観も、当時とは全く違う。
観音から地蔵へは少し遠く、2620付近までくだらないといけない。鳳凰小屋への分岐をす ぎ、一番の最低鞍部へさらに下り。足場の悪い大岩がかかっている場所が1箇所。今はなんと か行けるが、2,3年内にはロープがかけられるようになるだろう。大崩れしている土のずる ずるの斜面が1箇所。一登山者がかけた(と書かれている)トラロープが1本あったが、ロー プの結び目で出されている末端の長さを見ると、とても体重を預けられる代物には見えなかっ た。登りゆき下りゆく登山者は平然とつかまっているようだが少し躊躇。ここでもロープやは しごの類は基本的に信用できない性格を発揮して、結局ロープは使わずに下った。その2週間 後登山道が閉鎖されているところを見ると何か事故があったのだろうか。

前回敗退した最低鞍部すぎの2640mをこえるとすぐ地蔵岳方向の分岐。たけさんはそう遠 くないところに見えていたがなかなかやってこない。少し話し込んでいるのだろうか。どうせ 地蔵までは行くはずだからと、いったん荷物をおいて賽の河原方向へおりていく。ここも意外 と距離があり、空身とはいえ筋肉痛の足には辛い。そしてオベリスクに取り付く。最後の2段 当方の前に取り付いた人がおり、はすれ違う場所がないので、10分位下山を待ってからのと りつき。ある程度予想はしていたが、確保されていなければ到底登る気にはなれない代物で早々 に敗退する。僕のジャンルは縦走であり、基本的に岩登りは関係ないさ。とりあえずこんなと ころで命をかける気はないと早々に下って戻る。分岐まできつい登りを登り返す。普通の足で はたいしたことがない登りであるが、もう十分足にきており辛い。
もとの場所に戻るがたけさん見当たらず。まだやってこないのか、先にいったのか。少し心配 になり、観音あたりで同行した人に地蔵で出会ったときに連れの行方を聞いてみるが、どうや ら見なかったよう。落ちるようなところはないのでそれ以上の心配はしないことにする。今日 は早川小屋まで会うことはなさそうだ。

とりあえず高峰方向へ足を踏み入れる。とたんに静かになる登山道。待っていた。南特有の登 山道の静寂。鳳凰の喧騒を背に、すこしだけ下って、で登り返しも少しだが今の足にはキツい。 高峰手前のニセピーク直下では少し手を使わないと登れないところ。ふりかえると八ヶ岳や蓼 科山。そして甲斐駒は観音岳からずっと見えていて、格好いい山肌を晒している。高峰は鳳凰 三山とはうってかわってハイマツに覆われた緑色の山。標高は2778.8あるので決して鳳 凰三山に一歩もひけをとらない。そして高峰からは北岳の大樺沢雪渓が真正面に見える。今は バットレス沢分岐あたりまでの長さ。そういえば久しく大樺沢へはいってないな。
間と農鳥、そして塩見、悪沢の展望。こう見ると決して遠くはないが、しかし歩くと遠い。

今回踏みたかったピーク。地蔵岳に続いて高峰もこれで踏んだことになる。ここから先は楽し みにしていた早川尾根。いいよいいよと言われつづけ、いずれは踏んでみたいと思っていたルー ト。
高峰には10分ばかりいて、白鳳峠方向へ下る。急降下のしょっぱい下り。手を使って後ろ向 きで下りたくなるところも何箇所かある。ザックの重心を両足の間から外さざるをえない場所 もあり、これがまた辛くペースが上がらない。
少し下るとさきほどのおじさん。5分位前にたけさん通過とのこと。少し目を前にやると確か にそこにいる。意外と遠くへは行ってないので高峰に長いこといたのだろう。あれなら白鳳峠 で再会かな、といったところ。真正面に甲斐駒を見ながら歩いてしばらくは細い尾根から次第 に広くゆるやかになり、一旦樹林に入るとすぐ白鳳峠。場所は高峰からも見えているので予測 はつきやすいが、見た目よりも意外と遠く時間がかかる。
白鳳峠でいったんザックをおろす。同時におりてきた組は白鳳峠から広河原へ今日中に下山。
当方は左へいって敗退する・・・つもりが、間違ってまっすぐ進む。
今までとはうってかわって細い踏み跡の樹林帯。ところどころ踏み跡が草に覆われている。少 しきつい登りをこなして2553(赤薙沢頭)までのぼった後はわりとなだらかで距離を伸ば すルート。足の方は少し余裕。広河原峠へ一回おり、再び長くなだらかな樹林を歩く歩く。な だらかではあるが実に距離が長く、まだかまだか、と思ったころ、気づいたときには小屋の前。 早川尾根頭の真横ということで、実は展望を期待していたのだが、南御室と同じような地形で 小規模にしたような場所。展望はまったくなく、樹林の中の静かな小屋。テント場は7〜8張 で一杯になるくらいで小屋も小さい。先客1名は甲斐駒方面からきたのだろうか。いずれにし ても当方とたけさんとでテントは3組だけだろうから、と思い、一番よさそうな場所から使わ せてもらう。受け付けの時に冷茶が出てきたが、これがまた嬉しかった。水場はしっかりして おり涸れる心配はなさそうだ。
テント設営して、再びビールを頂いているうちに続々と登場。テント場のほうもついに一杯に。 こんなところでも大入りになるんだなー、と妙な感心をしたが、隣もほとんどすれすれにテン トを張るような状況で、ちょっと(自分のほうも含めて)寝息が心配。

気象通報は再び欄外に50mの台風を報告。まだ欄外だから当面は近づいてこないだろう。ど こで停滞になるかも今の段階では計算できない。とりあえず現状では気にとめておくだけだ。 気象通報が終わったらさっさと就寝する。

22日 早川尾根小屋〜アサヨ峰〜仙水峠小屋

すでに変な空咳も止まっている。良く眠れるようになったが、さすがに疲れもあり、もう少し 寝たい。今日は行程からいって休養日になるので軽く出て仙水の樹林のテント場でぐっすり寝 よう。
食欲もあがっているが、今度は逆に食料不足が心配になってくる。もともと食欲はひどい状態 だったので食料は軽めに入れてある。そのうえベストの体重より3kg軽い状態でスタートし ているから、食欲がくればその分余計に食べないとやっていけない。今山行ではかなり緻密な 食料計算が必要なようだ。
今日はおそらくアサヨ峰直下まで展望がないのだろうと予測。早川尾根頭へは5分位だがこち らは展望も道標もなし。今日は一応日の出前にはスタートしているが、おそらく3時間内外は 展望がないはずなので日の出は断念している。ところが、歩きやすい樹林のルートをたどった 日の出直後の55分。4時15分には2553で森林限界をこえる。完全に失敗である。もう 30分早く出ていれば日の出を見られたのに。とはいえまあ樹林の中からそれらしきものは見 たのでよしとする。2553からは一旦下って樹林にはいるがすぐ再び森林限界をこえての稜 線歩き。
今日は昨日より格段に人が少なく、アサヨ峰から2つ目の小ピーク、地形図では鳳凰山の一番 はじっこの無名ピークで休憩を入れる。当方が着いたときにいた人はやはり同じ場所で休憩を していたが先にいってしまったようだ。1つ小さなピークをこえるがたいした下りではなく、 3時間というコースタイムからは考えられないくらい楽々な登りでアサヨ峰へ到着した。ぐるっ と裏側へ回り山梨百名山の道標も確認。なかなか登る機会のなかった山だが、最高の展望で出 迎え。中央アルプス方面も見えてきた。裏には御嶽、乗鞍。
もう今日は降りるだけ。この様子だと甲斐駒往復もできるな、という体力具合で栗沢山への岩 稜歩き。意外と高く立派な山。早川尾根もこれでおしまい。最後の最後でライチョウの出迎え。

栗沢山にて甲斐駒を見ながら少し長時間の休憩。同行のおじいさんはなんと21日かけて光だっ て!えーっと、僕は、白鳳峠で敗退・・・じゃなかった。白鳳峠は通り過ぎたから、次は北沢 峠で敗退でございます。一応いけるところまで、かな。
ということで栗沢山とはお別れ。仙水峠までの600m近い下りに入っていく。足場はまあま あなのだがやはり重荷に下りはきつい。余裕軽々、今日は甲斐駒も踏んじゃうぞモードから、 いきなり、もう空身で歩くのも辛いぞモードに転落する。そして見覚えのある場所へ到着。も う一杯一杯である。
予定通りというか何というか、目の前に見えている白い山は明日のおあずけ。ゴロゴロした岩 の上を、最後の足首の力を使って仙水へと下っていくのだった。

仙水小屋のテント場は狭いが、長衛小屋とは全く違った雰囲気。長衛小屋のテント場はどちら かといえばオートキャンプ場だが、それでもまだ仙水小屋は山の雰囲気を色濃く残している。 惜しむらくは完全予約制であることだけだろうか。水場はしっかりしている。

騒ぐ人もなく、今日は静かな静かな日暮れ。仙水峠まで往復な観光客の人がテント場を訪問し ていった程度で、のんびりと昼下がりを過ごした。

23日 仙水峠小屋〜甲斐駒〜藪沢小屋

ザックの中身のほとんどはテントの中に残して、今日はほとんど空身での登高。駒津峰からの 往復登山で甲斐駒に登った、というのもなんだが、登頂云々というよりも駒は前回登ったとき 何の展望にも恵まれなかったので展望具合だけでも見ておきたい。
前回も残念ながら畑薙から入山で駒津峰からの登頂。いずれは黒戸尾根から、と思いつつもな かなか実現できない山だ。

仙水峠までは昨日とおったばかりの勝手知ったる道。まもなく礫の上を歩くようになるが、昨 日と違うのは荷物の重さ。一挙15kg減。楽々ホイホイと登る。仙水峠で日の出を堪能した あと一旦樹林の中へ入る。駒津峰へのきつい登り。一旦2536で斜度を緩めるが、それとて 一瞬のこと。再びきつい登りにかわって、樹林から疎林にかわり展望が出てくるとまもなく駒 津峰。
ザックはここにデポして空身で六方石方面。直登ルートとまきみちがあるが、ここは迷わずま きみちの右へ入る。少しくだって一番下がったところから水が出ているが、ここは水量細く多 分涸れる。ここをこえるとすぐ砂地に変わるが展望があるせいか前回感じたような底なしの高 度感は感じずに登頂。山頂は広く中央に祠がたっているため一度に360度見渡すことはでき ないが自分が山頂をぐるぐる回って360度見渡す。北ア方面の展望もあるが、昨日よりは少 し落ちる感じ。妙高あたりの山も見えているがはっきりと同定することは難しそうだ。
続いて摩利支天へ。ショートカットしようと思ったらはまりこんで数mの段差がおりられず一 旦ルート変更して無事本来のルートにおりたつ。無事こちらも登頂する。数秒だけ山頂で過ご したあと心も晴れやかに下山・・・と思いきや、もうあがってくる人の多いこと多いこと。さ んざん待たされてうんざり。少し無理やりにでもつっこまないと永久に降りられなくなりそう なので、すれ違いの合間を見て3歩4歩と歩を進め、頑張って仙水峠まで一気に降りると今度 は百人くらいの団体ツアー。そこでまたぶちきれですよ。少し座ろうかと思ったのに、もうと にかく人垣を縫って仙水峠下に行くのがやっと。
騒がしい騒がしい仙水峠を下って仙水小屋へ。なぜか登山道は静か。
テントを撤収して荷物をザックへつめると再び重い荷物に。北沢峠への下りはほとんどが綺麗 に整備されているのだが、1箇所悪いところがあって鎖にぶら下がる。CTは30分ほどになっ ているが、心理的には長く、右の堰堤を見ながら、これの向こうだったかなー、を3度4度繰 りかえしたあたりでようやく長衛小屋へ。車も置いてあるすっかり下界化した場所。あまり深 くはかかわらず、ジュースだけ口に入れて先へ進む。北沢長衛小屋のテント場には仙水小屋か らは考えられないほどのテントが張られていた。
少し登って林道へ出ると、本日は最後の500mの登り。もう行くしかない。高度計をあわせ てあとは一気。2合目で北沢峠からの登山道と合流し、たけさんと順番を交代。当方が先に立つ。 3合目4合目とすぎ、5合目大滝頭までノンストップで到着。丁度到着したときに入れ違いで 1組出発。彼らは馬の背ヒュッテだろうか。
藪沢小屋へは大滝頭で分岐を右へ折れるのだが、一応間違わないよう分岐で一旦待つ。5分位待っ ただろうか、10分だっただろうか。少し危ないかな、と思っていた天気も、ついに降りはじめ。 荷物の場所を木陰へ動かす。
とはいえ、まだもう30分くらいは大降りにはならないはず。小屋は目前なのでここは雨具は出さ ずに小屋へ向かう。少し下ったり登ったりしながら殆ど標高は稼がず進み、少し水の流れた沢をト ラバース。2つ目の沢は上の方にまだ雪が残っており、夏の清涼。そろそろの筈、と思っていると 樹林の中にたつ静かで小さい小屋に到着。宿泊者もほとんどいないのだとか。藪沢小屋は自炊小屋 になり、水は豊富。

外は相変わらず雨の音。本降りになってきたようだ。毎度のことながら、行動中は本当に雨にあた らない。今年もまたツキがめぐっているというべきなのか、しかしいつまでも雨にあたらなければ 悪天の対処もうまくならない。一応3日に1回は雨が降ることになっているのだが、しっかり雨具 を着込んで歩いた記憶も数えるほどなら雨の中のテント撤収にいたっては1度も経験なし。
今日はどうやら私たち2名だけが宿泊者のようだ。大きく荷物を広げる。
他のグループとの交流も小屋の楽しみだが、まあ、静かなのもいいさ。今日は小屋番と宴会だ。
そう思って夕食の準備をしていると続々と宿泊者登場。すっかり満員御礼となった。
隣の人は北沢峠から仙丈だけ往復とのこと。どうせ南の食事はよくないのだから自炊で、などといっ ているが、ごめんね。今日び仙水では刺身が出るのよ。どちらかといえば刺身よりなすカレーごは ん500gとび辛3の方が嬉しいが・・・それはさておき、どらえもんのポケットのごとくいろい ろ出てくる彼のザックの中身をご相伴にあずかり、すっかりおなかいっぱいにさせてもらう。
ま、いろいろあるけれども、少なくとも僕は彼のおかげで久しぶりの生ものを食べさせてもらった ので感謝する立場。そういう楽しみ方もあるのだから、僕はあまり批判する気にはなれないし、少 なくとも仙丈小屋で2食付な人よりは百倍志が高いと思う。

台風は予想に反しこちらへまっすぐ向かってくる。どうやら直撃は免れないようだ。明日両俣小屋 へ行って両俣小屋で停滞するにしても、左俣沢が荒れない保証はないし、いや、勢力からいえば左 俣沢は通れなくなる可能性が高い。尾根沿いに農鳥→北岳、と回るルートは倒木が増えるだけで多 分大丈夫だろう。いずれにしても明日は行動できるがあさっては休養か。さすがに連日の行動で疲 れもたまってきているのでこのあたりで1日休憩が入るのは実にありがたいことだ。

24日 藪沢小屋〜仙丈〜両俣小屋

4時になっても誰も起きる気配なく、当方が一番最初のスタート。4時から食事開始で4時半に小 屋を出る。いったん大滝頭まで戻って、大滝頭で日の出。甲斐駒の脇からあがってくる。甲斐駒も すでに踏んだ。歩いた距離を伸ばしている実感。小仙丈の下で森林限界をこえてくる。
小仙丈へは巻き道を使わずきちんと登る。登ったからといって別段たいしたピークでもなく、立ち 止まらずにそのまま先行。小仙丈までは静かだったが、下りてくる人の多いこと多いこと。仙丈小 屋の素泊まりも考えたのだが、藪沢にして大正解だった。
今日は展望には恵まれたが、台風の影響だろうか。えらく風が強く、ほとんどの人は雨具を着込ん でいる。きれいになり、今は食事も提供するとともに宿泊者層も変化した仙丈小屋への分岐を過ぎ ると一部尾根が細くなっている部分もあり、右側のカールを眺めながらもすれ違いに注意しての登 高。少し細いところを通過するとまもなく山頂。えらく風の強い中、ようやく初の3000m到達 である。
山頂からは槍〜白馬岳まで見えている。しばらく休憩して空腹を満たした後仙塩尾根へと足を踏み 入れる。仙塩尾根は大仙丈まで歩いているが、その先は未踏。足を踏み入れると急に静かになる。 そして増える花の量。たけさんも少し後からなので今は1人で静かな山を堪能。大仙丈までの間に 意外ときれ落ちている場所がたくさんあり、右に落ちるとアウト。一番風の強いときは歩きたくな いので一旦止まりながら先へ進む。予想外に時間がかかる。後ろの方を少し気にかけながら進む。 大仙丈から先は展望にかわり花が多くなる。2755付近で人とすれ違うがこの人も大きいザック。 いかにも南らしい風景だ。そして、2755をこえてくると樹林に入ってくる。倒木多いとか荒れ ているとか聞いていたが決してそんなことはなく、適度に整備された歩きやすい道。距離は長いが 地形的にはわかりやすく、ここだと思ったところで振り返ると伊那荒倉岳の小さな小さな道標。展 望はまったくなく、言われなければ気づかないようなピークだ。いったんザックをおろして高望池 へ。南ア最後の秘境といったところか。どこまでも静かで神秘的な場所。誰もこない。
2499(独標)で一旦展望に恵まれるが横川岳は再び何の変哲もないピーク。もうすぐかな、と 思ってからうんざりするほど下って野呂川越に出る。楽しみにしていた仙塩尾根もこれでおしまい。 両俣までは整備されているも厳しいくだり。
最後は川沿いに下りてくると、なつかしいなつかしい両俣小屋は目の前。小屋は工事中で車も入っ ている。当初は小屋泊の予定になっていたが、小屋泊の人も結構多い様子。台風はそれるほうに賭 けてここはテントでいくことにして届け出。ひやむぎとチャーハンを食べさせてもらう。両俣小屋 の水場は水道のような状態で、ここでTシャツを洗い体を拭いて、新しい体で第2ステージに入る。

今日はラジオが入らず天気図が取れない。台風の状況がちょうど微妙なところにあるにもかかわらず 最悪である。仕方がないので小屋でとった天気図をカンニング。どうやら台風はそれるようだが明日 再接近の予報。西へそれて九州へ向かうようだ。

25日 両俣小屋〜北岳山荘

少し雨が残っている。今日は遅い出発。今日のルートは標高差もきついが道も荒れているあまり 良くないルートであることは先刻承知。そして今日からは1人の山歩き。今日向かうのは1200m ばかり上方にある北岳。とはいえ、今は何も見えない。

最悪の日に最悪の天候を迎えた。

間違いなく増水している川を今日は何度か渡渉しなければならない。そしてたどり着くのは展望 のない北岳。3度チャレンジして3度とも展望なしである。

とりあえず荒れる前に沢筋は離れないといけないと思い、重い腰をあげる。たけさんはまだ出発 の体制ではないようだ。すでにヘッドライトは要らない位の明るさ。間もなく日の出を迎える時 刻とはいえ沢の中からは何も見えない。今日は雨具の下にスパッツの完全防備で出発である。

過去に同じ場所を歩いているはずなのに、ほとんど記憶らしい記憶がない。まるではじめて歩く 場所を歩くかのような感覚。沢の両脇はまた大きく抉れたようで土が剥き出しになった場所をい く。少し古いペンキもあるので、多分昨年もこのとおり歩いたのだろう。昨年もまた必死に歩い ていた。
そしてやってくる渡渉。流れを見て唖然。渡るところなんかない。少し浅くなったところを何と か選んで歩くがやはり右足の靴下がぬれてしまう。2回目。3回目。今度は左足が長靴状態。だ んだんダメージは増えていき、地形図を見ながら時計を見ながら正面の地形を見ながら、そろそ ろ左にとりつきか、と思った頃致命的な7回目の左岸方向への渡渉を迎える。取り付きは右岸だ から戻るために少なくとももう1度渡渉があるということである。すっかり水を吸ってしまった 靴下と暑苦しい雨具の足元と、予想外の渡渉は精神的ダメージを増やし、1時間を丸々経過した ところで一旦座り込んで一旦靴下を絞ることにする。しっかり絞った上で気休めかなと思いつつ も天日干し。もちろん天日なんか出ていない。天候が変わらないうちにもう1回の渡渉をこなし ておきたいのでほどほどにして引き上げることにする。
最後はロスタイム程度で再び渡渉になり、左俣大滝を見ながら北岳方向への急なのぼり。次の目 標は水場で水の補給。と思ったが、距離感が全然違う。前回きたときは10分位登ったような気 がしたが、実際にはとりついてすぐのところだった。この距離感の違いと水量の細さにだまされ て確認していながら水場を通過。まあ今日は日も出ていないのでさほど水の量も減らないだろう と判断。
とりあえず2300mから2841mの中白峰の頭が目標。550mののぼりは例年なら1時間 半+くらいだが今年は2時間かかっている。荒れたきついのぼりになるだろうと予測していたの だが、ここは意外や意外割と登りやすくイレギュラーな足のおきかたをしないといけないところ がほとんどない。くだりにルートをとるとかなり厳しかった記憶があるが登りでは斜度がきつい だけで高度計が2600を指すところまで登る。左手には中白峰沢ノ頭がすぐそこに見えている ので現在地は2750付近だろう。一旦休憩に入り、再び歩き始めるとすぐ森林限界をこえる。 再び空身で往復して中白峰沢ノ頭に立つ。本来なら甲斐駒や仙丈、アサヨ峰が確認できるところ だが今日はやっと左俣が確認できるだけで展望らしい展望は何もない。とりあえず踏んだだけ踏 んで北岳方向へ。斜度も緩くなりはっきりした尾根。左側はきれ落ちているので慎重に暫く進む とだんだん尾根の形がはっきりしなくなってくる。そしてはっきりしない踏み跡。一旦ここで道 を外してウロウロする。約5分のロスタイム。ほどなくガスの中から正しい道を見つけ乗り越す と、まだかまだかと思っていた肩の小屋との合流点はひょっこり現れた。数字だけ見ると意外な CT1時間半は距離と小さなアップダウンがありある程度妥当だな、と思えた。
一旦ここで荷物を下ろしブドウ糖をボリボリやった後、5分ほどで北岳への取り付き。とくに危 険なところはなく、ほどなく北岳に立つ。天候は回復してきているものの、やはり今年も展望は なし。これでは北岳ではなく来ただけである。見事3連敗。北岳には嫌われているのだろうか。 それでも今年は風がふきはじめると時折オベリスクがチラチラと見えるだけマシ。仙丈や甲斐駒 や早川尾根、ふりかえって間や塩見の展望は心の目で堪能。濡れた靴下を新しいものに交換して 北岳山荘へ。ルートのほうはつけかえられたのかと思うくらいするするといくが、多分同じ場所 を去年も歩いているのだろう。はしごは去年つけられたものだが、特に難所というわけではなく 心配するほどではない。

相変わらず南では騒々しく北ア化している北岳山荘に到着する。農鳥までいくかどうか考えたが 体力と時間は許しても気力が続かない。水を背負ってあと3時間歩く気にはなれず北岳山荘泊ま りにする。テントの受付をして、カップラーメンを入手。稜線上に水は出ていないが小屋で有料 で手に入る。
しばらく休んでいると、なんと北岳は晴れ渡ってくるではないか。完全にトホホである。昼寝を した後夕方は写真をとって過ごした。


26日 北岳山荘〜間ノ岳〜農鳥岳〜北荒川テント場

月明かりで歩く。稜線のナイトクルージング。
周囲には誰もいない。誰も歩いていない。今はたった1人の時間。
静かな、どこまでも静かな一瞬。

今日は3時すぎにテント場を出発した。北岳の昼間の喧騒が嘘のような登山。
ヘッドライトはつけず、自然の光だけで楽しむ。どこまでも歩きつづけたくなる一瞬。

今、風が吹いてきた。汗がひいていく。

北岳山荘からの日の出もいいが、今日は少し長い。目標は雪投沢だから都合CT11時間にな るだろうか。中白峰と間ノ岳の丁度中間で朝日を見る。どこまでも静かな日の出。
北岳から間ノ岳への道は多少ガレてはいるが決して悪いルートではなく、日の出から30分後 誰もいない間ノ岳に立つ。間はどちらかといえば大きいばかりでどうでもいいピーク。すぐ農 鳥方面のくだりにとりかかる。1時間だというが、1時間は少し短すぎだろう。悪くはないが かなりきつい下りの途中で農鳥からやってくるたけさんとすれ違い。この時間にこの場所なら 今日中の下山だろう。

農鳥との分岐で一旦間違って三国平方面へ向かってしまうが、すぐに戻って農鳥小屋方向へ。 小屋に水場はなく水は有料。水場は確認していないが往復20分程度らしい。小屋で言ってい たので間違いないだろう。
分岐ををこえて少しいったところに荷物をデポ。農鳥までの距離は結構あるのは承知の上なの で今回は水を持っていく。農鳥までの30分の登りは意外と楽だがここからが遠く手を使いな がらの登山。1時間弱を経過する頃農鳥の山頂直下で今日大門沢方向に下山する人に捕まる。 山名解説のお礼に、と、ゼリーやらソーセージやらいろいろ頂いて話し込み。20分ばかりい ただろうか。とりあえず山頂往復、ということで山頂を踏んでお別れ。農鳥小屋で再びカップ ラーメンを頂き元気が出たところで三国平方向の巻き道を進む。距離の割に足場が悪くなかな か先へ進まないルートだ。水場までは丁度1時間。今回もしっかり出ていたが、熊ノ平のおい しい水が待っている。できるだけザックはおろしたくないのでここは無視。左には東俣の源流。 足場こそよくないがこのルートも静かでなかなかいい。南の清涼剤といったところだ。
高い空に見守られた天空の楽園。右からは間ノ岳・三峰岳経由の人もやってくる。実に綺麗な 空の色。もうすぐ樹林帯に入り見られなくなる。
丁度お昼に熊の平へ到着する。今日は何がなんでももう少し先へ進んでおきたい。昨日農鳥ま で行っておけば雪投も楽々だったなー、などと思い返す。とりあえずジュース1本仕入れるも っという間になくなる。すでにCT6H40の行動で体力は一杯一杯。
雪投まではCT4時間。北荒川へは3時間。遠いな。
CT3時間はちょっと行く距離ではない。半日行程だ。なぜ南はこうも広いのか。

時間的には北荒川で時間通りなら気象通報に間に合うが、まあ目標は日没の7時、といったと ころだろう。どちらにしても水場は期待していない。テント場までいければともかくとして、 最悪の可能性もある。調理が2L,今日の行動が1L,明日三伏までが1Lで都合4Lあれば 足りるはず。目一杯ここで仕入れていく。うんざりするような重さ。

とりあえず、歩き始めてしまえば引き返せない。とりあえず出発してから考えようと、いそいそと 出発。稜線に出るまでの30分は意外と楽で、順調に距離を伸ばすも台風の影響か倒木が多い。荷 物をひっかけながら倒木をこえていくが、なかなか北荒川はやってこない。思わず反対側から来た 人に、この先もこんな状態ですか、などと聞いてしまうが、2mも登らないといけないような酷い 倒木はないようだ。時折樹林の上に出て農鳥方向の展望を楽しませてくれるが、大筋では樹林の中。 場所は要所にポイントもあるので場所は把握しているが、最後の登りは実にきつく、もう足が上が らない!という最後の一歩が北荒川の山頂であった。
あたりは一面ガスの中で塩見方面の展望はなし。右の大崩壊をみながら灰色の砂の上をとぼとぼと 歩く。北荒川のテント場まではあと3,4分だ。

北荒川のテント場はどちらかといえば荒廃が進んでいる様子。整地された水平のテントスペースは 1箇所もなく、斜めに傾いたスペースが3〜4張り分。できるだけ水平な場所を確保するがそれで もテントの中で転がるような状態。
水の残りは3Lだったが、結局調理に3L使い、急遽水場まで2L汲みにいった。
管理小屋のわきから下へおりられる踏みあとがついており、くだり5分のぼり10分といったとこ ろ。水の方はしっかり出ていますが、汚染が進んでいるので煮沸して飲むのが吉とのことだ。


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最終更新日:2002.8.10

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