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勿論僕も人の子だから、好きな山も嫌いな山もある。
どちらかといえば好きではない山に分類されるのは、高妻山、妙義、戸隠、剱岳、穂高…
まあ、だいたい傾向はわかりますね。
ついこのあいだ、両神山へいってきた。僕はいちおう百名山と呼ばれる山々は完登
しているので、もちろん両神山へも登ったことがある。いつのことかといえば、2000
年の5月。あの立地でそれ以来足を運んでいなかったわけだから、どちらかといえ
ば、好きではない山の方に分類されていたといってもいいだろう。
だが、その両神山は実にいい山だった。山とは、経験と時期と、ルートや気象によっ
ても様々に表情を変えるものではないだろうか。
完登とは何だろう。百名山の全ての山に、1度だけ、何れかのシーズンに、何れか
のルートから登れば、それで完登といえるのだろうか。そして、その山頂に立った
山のことはほとんどわからない。深田氏の選んだ山には、一生登り続けてもその全
てを見せない山もあるし、それも、そういう山がゴロゴロといくつも転がっている。
1度だけ登って、それで終了、という類の代物ではないはずだ。
両神山へいってみて、完登とか言うのは、何かヘンな言葉だと僕は感じた。両神山
は2度目で、それも前回とたいして違わない季節。それでもハッとさせられた。僕
らは山の知識が増えることで感性も高まる。昔、赤線だけを頼りに登っていた山で
見込みのありそうなところは、1度頭を真っ白にしてもう1度登ってみようと思った。