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山は泊まりに限る。疲れた体で運転して帰らなくてもいい。
山は泊まりに限る。真っ赤な夕焼けがあれば最高だが、そんなことはどうでもいい。
忌まわしいパソコンとやらに向き合って、精神をすり減らさずに夜を迎えることのあ
りがたいことか。妙な薬を飲まずして熟睡できることの、なんとありがたいことか。
ゆったりと流れる時間の中で、後のことを気にせずに酒をちびちびとやることの至福。
シンプルな装備がいい。小屋よりはテントがいい。フライを叩く雨音の不安。
どうせ寒さに負けて、顔すら出さない。でも、そこに星空がある。見えていなくても
ありさえすればいい。そこにあることだけ想って、贅沢に寝ることが愉しみ。
何度も寝なおして、ようやくやってきた朝日の感動。持ち帰ったフィルムを見るまで
のワクワク。山の景色の大多数は、朝と夕にこそあるものだと、今確信した。
やはり山は泊まりに限る。登りの苦しさを超越するものは、泊まることで味わえる。