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三峰から単独で5時間のラッセル。わかんをつけて脛ー膝
の雪を踏み、めげる頃後続に追いつかれて交代した。最終
的に霧藻ヶ峰に立ったところで敗退。休憩所から見たその
山は実に高く見え、そして今も我が心に単独フルラッセル
で登るべき山として高く聳えている。
たとえその翌週、石尾根を縦走して奥多摩駅で冷たいそば
を堪能することができたとしても。
暗い谷に落とす光。美しく青い渓谷美からはじまる登山道。
どこまでも静寂に包まれた山行だった。崩壊が進んだ道。
そして、歩き疲れた頃に舗装道路へ出た。
わざわざガラス製のワイングラスを持ってあがった山は、
翌日伊勢湾越しに富士山を望む感動の夜明け。再び4時
間歩いて下山した後、今度は大杉谷を下ろうと約束して
別れた。
ドライブウェイの終点からたった1時間で登れる山の、
ドライブウェイ開通前の静寂。
登頂を開始したのは23時だった。誰とも会わずに山頂を
踏み、草原に寝転んだ。海からの暖かい風。夜景と星空を
見ながら、時が止まったような感覚におちいった。休みが
なくても山はできる。月明かりを頼りに下山した。
幕岩が賑わう頃、僕は会社で仕事していた。
2度の敗退を含む4年越しの片思い。僕は黒戸尾根から
登頂すると心に決めていた。
憧れていた山に立ったのは駒津峰からだった。台風の影
響。大風の中何も展望のないピークに立った。複雑な気
持ちだった。
その山行最後のピーク。晴れていれば、歩いてきたルー
トを目で追ってみるつもりだった。農鳥岳、塩見岳、赤
石岳、上河内岳、そして−
道のりの長さだけ敗退の悔しさが残った山行だった。
その日、白い岩肌を見ることはついにできなかった。
以上の記録は大筋で事実ですが、文章として仕上げるため若干フィクションが混じっています。